違法民泊と健全な民泊

違法民泊が増えてきている

海外から来る観光客が年々増加しており、さらに2020年には東京五輪が開催されるということで、不足しつつある宿泊施設をカバーするために日本でも民泊が広まりつつあります。
しかし、その流れの中で、業者でもない一般人が旅行者を泊めたり、中国人などが日本の物件を購入して母国の人間を泊める、というように、旅館業法あるいは特区民泊の認定を行わずに勝手に旅行者を泊める違法民泊が出現してしまいました。

無許可で行われる民泊では、不特定多数の外国人旅行者が普通のマンションや戸建て住宅を出入りする中で色々なトラブルが発生しています。
例えば夜中に酔っ払った宿泊客が騒いだり、ゴミ出しの日を無視してゴミを出す、部屋を壊すといったことです中には利用者が殺人を起こした事件も起こりました。

誰が家を貸しているのか、どこに誰が泊まっているのかが全くわからない違法民泊は犯罪に使われる危険性が高い、ということで2018年6月に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)では旅行者を家を泊めたいのであれば届け出をすること、家主に変わって管理をする業者もすべて登録をすることが義務付けられるようになりました。

そして宿泊者名簿の作成や顔の確認も行わなければいけなくなったので、犯罪者が隠れることもできません。

年間で最大180日までしか運用を認められない

新法では年間で最大180日までしか運用を認められず、自治体によっては条例でさらに厳しい制限が課せられます。
もしも、制限以上に畝位をしたならば、旅館業法違反で罰金100万円以下懲役6ヶ月以下の刑事罰となります。

ほかにもいろいろと民泊をするならば守らなければいけない要件ができて,なおかつ取締が厳しくなるということで違法民泊のオーナーは次々と撤退を始めています。
自宅を民泊に利用していたというオーナーはもちろん、投資として物件を買って勝手に運営をしていた外国人オーナーも物件の売却をする動きが出ています。

その影響はネットオークションにも出ており、民泊の部屋で使われていたであろう家具や家電が大量に売りに出されているのです。

今後は許可を得て運営をしているところも、日数の制限を超えていないか抜き打ち監査で調べられることになります。
定期的に取締をしていくことで、法の目をかいくぐっている違法民泊を締め出そうというのです。

犯罪の抑止にもなる

民泊が法に則って健全に運営されることは、犯罪の抑止にもなりますし、近隣住民にとってもトラブルに巻き込まれずに安心して暮す事が出来るという点で非常に良いことです。
しかし一方で新法が施行されたことで、逆に違法な運営をする民泊が増えるのではないかという懸念もあります。

たしかに民泊仲介サイトは日本で見られるものは、法律を守っている健全な民泊だけになりました。
しかし、外国人観光客は自分の国にある仲介サイトを使います。
そこで一見してしているとはわからない物件の紹介が行われるようになれば、状況が良くなるどころか悪化するのではないかというのです。

それに加えて民泊をするための要件が過剰になっていることで、特に問題を起こしていなかったオーナーが撤退するだけでなく、新規で始めようという人まで減らしてしまったという声もあります。

東京五輪に向けて民泊を活性化させようということであったのに、法律や条例で罰せられるのではないかという恐れから、新規参入の目が摘まれてしまえば結局方の目が届かないところで運営している違法民泊が利することになります。

もちろん、地下に潜ってしまった違法民泊を取り締まり、健全な民泊だけが運営できる環境を作り出すことは容易で無いことは確かです。
それでも、外国人観光客が法を犯すことなく、安心して泊まれるような状況を作り出すためにはこれから地道に取り締まっていく事が必要です。